夏休み特集(2)
 〜授業で使えるソフトやデータが見つかるホームページ


市川 尚(岩手県立大学ソフトウエア情報学部)

■はじめに■

 前回は夏休み特集と題して、家族の皆さんで見てもらえるような夏休みににチェックしておきたいホームページを紹介しました。今回は夏休み特集の第2弾として、今月号(9月号)の「CD-ROM特集」(パソコン活用授業を実践するときに役立つソフトやデータをCD-ROMに収録)に合わせ、こちらも「授業で使えるソフトやデータが見つかる」ホームページを紹介します。ソフトやデータとも、教育利用目的ならフリーでダウンロードできるサイトを主にとりあげましたが、ダウンロードされる場合は、必ずそのホームページに書いてある注意書きに一度目を通し、指示に従ってください。
 教育ソフトを公開し、ダウンロードできるサイトは、まだまだインターネット上には少ないのが現状で、パソコン通信(Nifty-ServeやPC-VAN)のほうが充実していると言えます。しかし、今後そういったサイトも徐々に増えてくることでしょう。今回の紹介は、この教育用ソフトをダウンロードできるサイトを中心に紹介します。また、教育ソフトの情報を提供しているサイトとして、2次情報的なものを公開しているところもあります。例えば、市販のソフトを検索できる日本教育ソフト協議会(http://www.jces.or.jp/)、全国の学校や教育研究所等教育機関の先生方が開発した学習ソフトウェアの紹介がある学習ソフトウエア情報研究センター(http://www.gakujoken.or.jp/)などが挙げられます。
 授業で使えるデータ(素材)は、ほしい情報が載っているホームページさえ見つかれば、そこからとってくることができます。著作権の問題がからんでくるので、許可をもらう必要がでてきますが、授業内でホームページを提示するくらいは問題がないと思います。例えば、先月号に紹介した天文台のホームページの画像(ホームページ自体)を、理科の授業のときに使う(提示する)などができます。ですから、授業で使えるデータは無限にあるといってもいいでしょう。これらのデータは、その当事者たちにより発信されている生の(最新の)情報であり、子どもたちにとってよい刺激となります。また、学校ホームページにある各授業実践例にも、授業内で使ったデータをそのまま公開しているところが結構あります。例えば、98年7月号に紹介した佐賀県厳木小学校平之分校(http://www.saga-ed.go.jp/school/hirano-el/hirano.html)では、授業で活用した教材(ワークシート等)をそのまま公開しています。また、データ(画像等)だけを提供する、データベース的なサイトも増えてきました。調べもののために検索する図鑑的な活用だけでなく、先生方が授業で提示したり、配布するプリント教材作成に役立つようなものを提供しているところもあります。また、画像データなどは、子どもたちにコンピュータで何かを作らせる際にも役立ちます。今回は、そのようなサイトを若干ですが取り上げます。
 

■授業で使えるソフトやデータが見つかるホームページ■

教育用ソフトとデータが両方置いてあるサイト

CRDC:岐阜大学教育学部附属カリキュラム開発研究センター(http://www.crdc.gifu-u.ac.jp/index.html;図1)  このホームページは、マルチメディア素材や教育ソフトの情報が充実してます。
 「マルチメディア素材資料 」では、学習・指導で使用できるマルチメディア素材が、サンプルとして公開されています。素材としては、「社会科・地域学習関係 」を主として、画像が提供されています。「素材検索」から、キーワードによる検索(絞り込みも可)ができます。岐阜県とその周辺地域関連のデータが充実していますが、伝統工芸(例えば、和紙、刀等)や「昔の道具」として火鉢、石臼等の画像といったものなども豊富にそろっています。また、「全国のマルチメディア素材」といって、全国各地の素材をリストしています。「理科関係」では、「アゲハ」として、アゲハのサナギになる様子と羽化の様子の画像を提供しています。
「学習・教材ソフト 」では、学校教育での利用を目的として、CRDCと学習システム研究会等が共同して作成・開発している学習用ソフト・教材ソフトの、オンライン教材(Web上で見る事のできるもの)とダウンロード教材があります。例えば、オンライン教材は、理科が中心で、小学校3年生理科の単元「あかりをつけよう」に使える「はじめての豆電球」があります。情報基礎のための「インターネットをつかってみよう」なども用意されています。ダウンロード教材としては、マルチメディア学習カード(FM-TOWNS用)などが提供されています。
 「自作教育ソフト情報 」は、学習ソフトウェア情報研究センターに収集されている自作教育ソフトの内,約750件の二次情報データベースがあります。検索をかけると、そのソフトに関する詳細な情報が出てきます。
  「WebREC 」は、学習・指導に役立つホームページの紹介で、「教材リスト」を選ぶと、「教科別一覧」があり、各種教材へのリンクがはられています。 「ずかん(図鑑) 」は、岐阜県を中心として、川や植物に関する、インターネット上の教材があります。

大日本図書ホームページ(http://www.egg.or.jp/dainippon-tosho/;図2)
 このホームページでは、画像集やWeb上の教材があります。「高等学校ソフトウェア集」として、「生物IB シミュレーション 」があり、例えば「細胞の大きさ」、「ショウジョウバエの遺伝実験」といった教材(shockwaveやjava使用)や、化学の周期表や、小学校算数 の「かけ算」なども公開されています。
 また、「季節の教材自然再発見」では、4月は春の花の画像や、6月には春から夏の昆虫など、季節を追っての自然に関する画像が、その解説とともに載っています。96年度からはじまり、頻繁に更新されながら、今現在も続いています。
 「小学校理科画像集」では、プリント教材等に使える、植物、動物、昆虫、天体、実験道具の白黒画像が提供されています。「中学校理科第1分野画像集」では、物質とその変化 (1)など単元ごとの画像集があり、「中学校理科GIF,AVIアニメ集」には、動く教材が用意され、花(受粉→受精→結実) などがアニメーションで見られます。「中学校理科観点別評価規準例」として年間指導計画が載っており、授業のどこにその画像等を使うのかを知ることもできます。

教育用ソフトが置いてあるサイト

Vector Software PACK(http://www.vector.co.jp/index.html;図3)
 ここは、フリーウエア(シェアウエア)がダウンロードできるサイトで有名です。「ライブラリ」を選ぶと、機種の一覧がでてきますので、そこで自分の機種を選択(WindowsかMacintosh等)すると、収録されているソフトのカテゴリ一覧がでてきます。そのなかで「学習&教育」という項目があり、様々な教育用ソフトがダウンロードできるようになっています。例えば、「コンピュータ」「算数」「外国語」等のカテゴリがにわかれて収録されています。「日本語」(国語)には、ひらがな、カタカナ、漢字、四字熟語、ことわざを学べるソフトなどがあり、ダウンロードして使用することができます。補足ですが、このサイトと同様に、フリーのソフトがダウンロードできるサイトは、「窓の杜」(http://www.forest.impress.co.jp/)などがあります。

石川県高岡中学校「数学の部屋」(http://www.nsknet.or.jp/~y_aoki/;図4)
 以前紹介したサイトですが、ここには、「Java 教材集」として、算数・数学の自作Javaソフトが公開されています。「三平方の定理」の証明として図形がアニメーションするものや、「転する平面図形」、「碁石を正方形の周上に並べる」(数える)など、多くの教材が公開されています。それらの教材は、ホームページ上で見る事も出来るし、ダウンロードもできるようになっていて、とても親切です。「数学科の先生方へ」として、実際にそれらの教材を活用した指導計画が載っているところも、たいへん参考になります。いくら教材ソフトをとってきたとしても、どこに使うのか(うまく使う方法)がわからなければ意味がありませんから、そう言う意味でも実践例(活用場面)とあわせた紹介というのは、とてもありがたいものです。
 数学の部屋「ソフトウェアライブラリー」では、PC98(MS-DOS)専用のソフト(45本)をダウンロードできるようになっています。円の面積をはじめ中学校数学用ソフトがあります。それ以外にも、数学の問題を数多く出題していたりと、とても充実したサイトです。

岐阜県関市緑ケ丘中学校ホームページ(http://www.tcp-ip.or.jp/~k-rin/;図5)
 「プレゼンテーションソフト・ KiTのスタック・ウエア関連 」では、先生が自作した、小学生用のKitのスタックウエアが載っています。種類は、算数、国語、理科、社会があります。例えば、「( 1) どっちかな [小学校算数 数の大小(小1程度)] をはじめ、100個近くのKitのスタックウエアをダウンロードできます。また、CAIMSTというテキスト形式のドリル実行ソフト用のファイルもダウンロードすることができます。Kitに関してましては、以前に紹介した「火曜の会」ホームページ(http://kayoo.ia.inf.shizuoka.ac.jp/kayoo/)に載っており、Dos・Windows版KiT本体やこれまでに作成されたKiTの教材をダウンロードすることができます。

鈴木茂先生による「釣りと教育」(http://www2s.biglobe.ne.jp/~s-sigeru/main.htm;図6)
 教育用のソフトをダウンロードできるページがあり、小学生が使用できるフリーのソフトをダウンロードできます。ソフトは、VB(visual basic)で作成しています。「かんたんマップ」として、スタンプを使用して簡単に地図を作れるものや、「計算ならおまかせ」という算数ソフト(各学年のものがある)、理科の星の動きを見られるものなどがあります。

教育用データが置いてあるサイト

宮崎大学付属小学校「画像データベースプロジェクト」(http://fes.miyazaki-u.ac.jp/;図7)
 「画像データベースプロジェクト」には、総計600画像ほどある、子どものための画像データベースが公開されています。子供が画像をほしいと思ったときに,著作権を気にせずに画像をもってきて、アイデアのもとにしたり,見て楽しんだり,学習に使ったりなど,いろいろな使い方ができるとのことです(教育利用に限り)。画像を検索する際は、キーワード検索か、もしくは50音順にリストされた言葉から選びます。子どもたち用ですから、すべてひらがなで書かれており(キーワードの入力もひらがな)、例えばあ行の一番最初は、「あいしー」で、ICの画像が出てきます。また、このデータベースの面白い特徴としては「こんな写真を撮ったよ」と画像を入れることもできるそうです。何かわからない名前のものがあるとき、画像を見るとああ!これだったのかとわかるということはよくあることだと思います。大変有用なデータベースです。また、子どもたちだけでなく、先生方も画像がほしいときに使えそうです。

三重県鈴鹿市立郡山小学校 ホームページ(http://www.myk.ilc.or.jp/~sakura/index.html;図8)
 「プレゼント」には、学級、学年通信で使える、職員が自作した白黒のフリーカット集があります。「動物」、「花」、「生活」などのイラストや、「囲み罫」(枠だけが提供され、なかに文字を書く)が提供されています。1月〜12月までの季節のイラストもあります。このように、授業の素材だけでなく、授業外に使える教育用素材も公開されています。お互いに自分たちの素材をもちよれば、新たに書かなくても、お互いに使いまわししていくことで、ワンパターンにならないようになることでしょう。子どもたちもいつも同じ絵より違う方が当然喜ぶでしょうし、先生方の作業軽減につながるのではないかと思います。

自薦・他薦のホームページ

西脇正和さんによる「子どもの国」(http://www.enjoy.ne.jp/~isshindo/;図9)
 子どもたちだ安心してネットサーフィンできるように、子どもたちのためのリンク集をつくったそうです。「キッズリンク集 」では、子どもたちのためのホームページがリストされています。また、「手話のリンク集」などもあります。「キッズギャラリー」として絵も紹介されています。「教育ソフトリンク」では、教育ソフト関連のホームページへのリンクが載っており、本紙で紹介したものも含めてリストしてあります。一度ご覧になってみてください。
自薦・他薦のホームページ募集中!ichikawa@edutech.tohoku-gakuin.ac.jpまで。
ホームページ紹介記事バックナンバーhttp://www.edutech.tohoku-gakuin.ac.jp/


図1 CRDC:岐阜大学教育学部附属カリキュラム開発研究センター
図2 大日本図書ホームページ
図3 Vector Software PACK
図4 石川県高岡中学校「数学の部屋」
図5 岐阜県関市緑ケ丘中学校ホームページ
図6 鈴木茂先生による「釣りと教育」
図7 宮崎大学付属小学校「画像データベースプロジェクト」
図8 三重県鈴鹿市立郡山小学校 ホームページ
図9 西脇正和さんによる「子どもの国」


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