授業で役立つホームページ

第11回
 情報教育関連のホームページ


市川 尚(東北学院大学大学大学院人間情報学研究科)
鈴木 克明(東北学院大学教養学部)

1、はじめに

 前回は総合的な学習のうち、生命教育と題して、心の教育、人権教育、性教育、ボランティア等を紹介しました。中央教育審議会の第一次答申では、総合的な学習の内容として、国際理解教育、情報教育、環境教育、ボランティア教育、自然体験等を挙げています(文部省ホームページ;http://www.monbu.go.jp/)。今回は、これまでに紹介していない情報教育関連のホームページを取り上げます。
 情報教育関連の発信は、主に教育機関を中心に学校や教育関係者個人から行われています。内容の中心は、コンピュータ(インターネット)の教育利用の紹介や教材・作品等です。技術家庭科から情報基礎として公開されているものにも、他の教科への広がりを意識して統合的な学習につなげているものもあります。
 学校からは教育目標に情報教育を据えているといった紹介や、授業にコンピュータを導入した実践例の紹介であるとか、子どもたちがコンピュータを使用して作った作品の紹介、インターネットを利用した実践などが公開されています。総合学習という言葉で自分たちの実践を紹介しているところはほとんどありませんでしたが、インターネットの利用はそれだけで総合的な意味を含んでしまう場合が多いようです。
 いつも通り、学校から公開されているホームページを中心に紹介し、その後から学校以外から公開されているページを若干紹介していきたいと思います。


以前紹介したページのうち、情報教育関連の内容が載っているところをいくつか挙げておきます。
NEW97年7月号「技術家庭関連のホームページ」で紹介したホームページ(バックナンバーをお持ちでない方は、http://www.edutech.tohoku-gakuin.ac.jp/new/)
群馬県前橋市立第四中学校(http://www.daiyon-jhs.maebashi.gunma.jp/)
 情報基礎で生徒が作ったホームページや、インターネットを利用した授業の記録、インターネット入門等オンラインの教材があります。
千葉大学教育学部付属中学校(http://cuejr.e.chiba-u.ac.jp/)
 情報教育関連の情報が充実していますので、ぜひ一度は訪れて下さい。授業で使用したワークシートや、ホームページ作成に関するものなど、ここには書ききれません。

2、学校からの発信(とりくみの様子)

(1)「総合的な学習」と明示してある情報教育

東京都第四大島小学校(http://www.mef.or.jp/~ktanaka/;図1)
 以前も紹介(96年3月号)したこのページですが、総合的な学習としてペットボトルプロジェクトが紹介されています。これはどちらかというと環境の分野に属しますが、授業のなかでは事前調査として、現地調査や最新情報をインターネットで収集するなど多様な情報活動を行っています。このあたりは、情報活用能力の育成、情報教育の部分と言えるでしょう。このページは他にも、子どもたちのインターネットへの入り口として「みんなのホームページ」というものを準備しています。そこにはやさしい言葉で書かれた教科別等のホームページのリストがあります。リストの中に「楽しいホームページ」という項目があるあたりが小学校らしいです。生徒たちが学級会で相談しながら作ったというホームページ「6年1組の部屋」も公開されています。余談ではありますが、この学校のホームページには・個人情報の保護についても触れており、個人情報については、氏名、写真、プライバシーにふれない程度の自己紹介、絵や作文等の学習成果などに限って公開することを 保護者の許諾を得て行っているようで、その承諾書が公開されています。情報発信のガイドラインも定めているようです。
 同校の教諭である田中克昌先生が公開しておられる「田中先生の部屋」(http://www.mef.or.jp/~ktanaka/tanaka/)では、総合学習に関連した学会発表論文が紹介されています。例えば「情報教育を意図した総合的な学習の実践」では、「四大小を世界中の人に知ってもらおう」と題してホームページ発信の実践例について書かれています。また、「教育工学関連学協会連合第5回全国大会発表レポート1997,9,13」では、先のペットボトルに関することが報告されています。
東京都淵野辺小学校(http://yamazaki.fuchinobe-es.sagamihara.kanagawa.jp/;図2)
 この学校は総合的学習を取り入れた活動として、「チャレンジタイム」というものを実施しており、その紹介が載っています。インターネットや図書室の本などを使用し、情報を集め、その情報を使って行う活動として、子どもたちそれぞれが考えた課題がリストされています。「平成9年度の計画」を見ると、この学校は積極的にインターネットを活用した情報教育を目標として掲げています。情報教育を基盤とした総合的な学習(課題学習)を導入して、インタ−ネット等のネットワ−ク を幅広く活用した新しい教育活動の創造をめざし、その具体的な計画が紹介されています。実際に活動した内容についてはまだ報告されていませんが、このように計画段階で総合学習をキーワードとしている学校はかなり増えてきていることもホームページから伺えます。

(2)コンピュータをメインとした情報教育

宮城県太白小学校(http://www4.justnet.ne.jp/~taihaku-king/;図3)
「コンピュータ研究部便り」は、小学校校内で配布している広報誌をweb上に載せたものです。この学校のコンピュータに対する関わり合いが手にとるようにわかります。例えば、ネットワーク構築(校内イントラネット)は、ボランティア等にお願いしているようで、段々できあがってくる様子がわかります。ホームページ作成等の様子も知ることができます。「コンピュータ室」では、LAN配線図や、10月6日実施のLAN延長工事のレポート(宮城教育大学安江研究室)へのリンクがあり、そこにはネットワークケーブルをどのように通したらよいのか、試行錯誤をした様子が紹介されています。また、「 CAIの記録」や「コースウェア一覧」では、授業使用したソフトの一覧があります。このようにコンピュータの教育利用に関する情報を中心とした公開となっています。  コンピュータ(インターネットを含む)を使用した例というのは、各学校のホームページで見ることができます。インターネットの活用としては、100校プロジェクト参加校に公開されている実施状況というものも大変参考になるもののひとつです。
福岡教育大学付属中学校(http://www.f-jhs.fukuoka-edu.ac.jp/;図4)
 「生徒の活動を知りたい方は(STUDENT)」には、「平成8年度 3年3組情報伝達のページへ 」というリンクがあり、この授業で作成したホームページが紹介されています。例えば、「音はなぜ電気の中を通るのか」というページがあり、実験の説明や結果、感想等が紹介されていました。また総合学習として、「卒業研究」(視覚障害者にとって盲導犬とは何なのか、考える)や「生き方学習」(環境等)の実践も紹介されています。このように、情報教育の成果として、生徒の作品紹介をする例も数多くあります。

(3)コンピュータを使用していない情報教育

福井県丸岡中学校(http://www2.interbroad.or.jp/maruchu/;図5)  昨年度から研究を続けている情報教育の実践報告ということで、「メディアタイム」という授業が紹介されています。「メディアタイム」の時間は、映像視聴能力・映像活用 能力・映像制作能力の育成を目指し、様々な学習を行っています。情報の受信する側と情報を発信する側の両方を体験しながら、「コマーシャル作り」を行っています。「メディアタイムの詳細」では、授業の目標や方法等が紹介され、メディアリテラシーの育成を中心に掲げていることがわかります。「年間指導計画」では、学習内容、学習活動、実施日が紹介されています。また、各教科ごとのとりくみの紹介は工事中のようでした。

(4)技術家庭科のくくりとしての情報教育「情報基礎」

鹿児島県鷹巣中学校(http://www-cn.edu.kagoshima-u.ac.jp/Tjhs/index.HTML;図6)
 この学校は、インターネットを「世界への窓」・「故郷を見つめる窓」 として各教科で活用しています。特に「情報発信」に関して非常に力が入っています。 生徒たちがエディタを使用してホームページ作成しています。技術家庭科「情報基礎」の平成9年度実践では、「じゃがじゃが資料館放送局」という生徒たちが作ったホームページがあり、じゃがいもとは?にはじまり、その栽培方法、調理方法、そして、取材を通しての感想が載っています。同様に「ブリクラ放送局 」(注:プリクラではない)という魚のブリに関する作品もあります。生徒が地域を取材し、HTMLでページを作って、卒業するのが、伝統になりつつあるそうです。平成8年度の実践では、各教科(技術、国語、音楽)で作ったホームページが紹介されています。また、「情報モラルの指導」として、授業で得た情報発信(ホームページ作成)におけるプライバシーや著作権に関する経験を元に、「生徒情報倫理委員会」という授業を実施した概要が紹介されています。

3、学校以外からの発信

fukufuku先生による「コンピュータ教育の部屋」(http://www.dtinet.or.jp/~fukufuku/fuku03.html;図7)
 「コンピュータ室運営日誌」では、コンピュータルームが設置された日から、学校で起こった数々のできごとが報告されています。運営上起こるトラブルや、授業のアイデアなどが話題として提供されています。これらは、コンピュータを授業に使うひとたちにとって、たいへん参考になるページです。また、日付順ではなく、話題別に日誌を参照することもできます。コンピュータ室の管理・運用の話題、教員の研修・研究の話題、教材作成と授業の話題の3つにわけられ、そのなかに様々なできごと(日誌)がリストされています。これらの日誌では、先生の奮闘振りやコンピューターを使う子供たちの様子が伝わってきます。ほぼ毎日更新されています。「初心者のための教訓コーナー」では、起動と終了はどうしたらいいのかにはじまり、FDとCD-ROM、マウス操作など、はじめての方には必要な知識が学べるようになっています。 また、インターネットの問題に関する作者の意見なども載っています。
「火曜の会」ホームページ(http://kayoo.ia.inf.shizuoka.ac.jp/kayoo/;図8)
 情報教育の項目として多方面からリンクしてあったのが、この「火曜の会」ホームページです。火曜の会とは、情報教育を研究する教育研究者・現職教員によるボランティアグループで、静岡大学の永野先生を中心したメンバーで構成されています。このページにはメンバーや活動紹介が載っています。また「ダウンロードサービス」では、Dos・Windows版KiT本体をダウンロードできるようになっています。KiTはプレゼンテーション用のフリーソフトですが、教育現場に広まっています。本体や設定に関する説明もここにあります。「教材データベース」では、これまでに作成されたKiTの教材をダウンロードしたり、WWW上での教材の実行をすることができます。また、「メロン・プロジェクト」として、広島で熊本のメロンとトマトを育てた記録が載っています。

4、最近みつけた、ちょっとお役立ちホームページ

 このホームページは、情報教育とは全く関係ありません。
KIDS'STUDIO(http://www2.big.or.jp/~kstudio/;図9)
 「School Information Center」では、数千に及ぶ学校関係のホームページの更新情報を素早くキャッチして発信しています。「KIDS' TOPIC !」では、小学校、中学校、高校等にわけられて、更新をチェックした日付が載っています。そこをクリックすると、「今週のBest Watch!」というページに行き、最近更新があった中でもおすすめのホームページが紹介されています。また、「更新情報一覧へ」に行けば、各学校の更新情報をチェックすることができます。また、「表彰サイト一覧(平成9年度)」として、さまざまなコンテストでグランプリをとったホームページがリストされています。これらリストされているホームページは必見です。このように、今後も面白いものをみつけたら、そのつど紹介していきたいと思います。

5、おわりに

 今回は情報教育関連のホームページを中心に紹介してきました。今回までで、だいたい総合学習各分野のホームページは紹介しましたので、次回は総合学習の全般をふりかえり、がんばっているホームページを紹介する予定です。
 また、自薦・他薦は問いませんので、ここで紹介してほしいホームページがありましたら、ぜひ教えてください(ichikawa@edutech.tohoku-gakuin.ac.jp)。

図1 東京都第四大島小学校ホームページ
図2 東京都淵野辺小学校ホームページ
図3 宮城県太白小学校ホームページ
図4 福岡教育大学付属中学校ホームページ
図5 福井県丸岡中学校ホームページ
図6 鹿児島県鷹巣中学校ホームページ
図7 fukufuku先生による「コンピュータ教育の部屋」オンライン
図8 「火曜の会」ホームページ
図9 KIDS'STUDIOホームページ


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