授業で役立つホームページ

第8回
 平和教育関連のホームページ


市川 尚(東北学院大学大学大学院人間情報学研究科)
鈴木 克明(東北学院大学教養学部)

1、はじめに

 前回、前々回と総合学習関連のホームページを紹介してきました。環境、国際理解に続き、総合学習の最後である今回は、平和教育関連のホームページを紹介していきます。ちょうど執筆時点が8月中旬で終戦記念日直後ということもあり、これまでに平和関連の取り組みやイベントがたくさん行われてきたことと思います。また日本は世界で唯一の被爆国であり、インターネットを使用して世界へ向けての平和の呼びかけにも力を入れていることでしょう。そこで今回は平和関連のホームページを紹介することにしました。平和への発信は、広島・長崎・沖縄を中心に学校や自治体、さらには個人からも行われています。学校からの発信では、平和教育へのとりくみの様子や、平和メッセージ(意見)などが多かったようですが、核実験アンケートをとっているところや、平和への祈りを込めて千羽鶴をみんなで折りましょうというプロジェクトなどがありました。
 前回同様、まず学校のホームページのうち平和教育関連の情報が充実しているサイトを紹介し、その後学校以外から公開されているページを紹介していきたいと思います。


以前紹介したページのうち、平和教育の情報が載っているところをいくつか紹介します。
群馬県前橋市立第四中学校(http://www.daiyon-jhs.maebashi.gunma.jp/)
 「四中から世界へ」では、核実験のアンケートを実施したとりくみがあります。後述のGAEAプロジェクトでも紹介します。
兵庫県赤塚山高等学校(http://www.city.kobe.jp/kobe-city/cityoffice/57/050/home.html)  生徒ひとりひとりの核実験に対する意見が英語で発信されています。 ●沖縄県美里高等学校(http://www.misato-hs.okinawa.okinawa.jp/)  後ほど改めて紹介します。

2、学校からの発信

広島県長束小学校(http://www.csi.ad.jp/school/project/nagatuka/;図1)
 この学校は広島の学校ということで、平和への取り組みに力をいれているようです。ホームページからはさまざまな平和教育の取り組みの様子を知ることができます。特にこの学校が中心となって行った世界的な平和へのとりくみとして「全国千羽鶴大作戦」があります。平和のために千羽鶴を折って送って下さいという呼びかけを世界に向けて行ったプロジェクトです。今年で2年目のようです。その呼びかけに答えて、日本各地あるいは海外の人たちから50000羽をこえる折り鶴が届いていたとのことです。世界中から平和への願いが集まってきています。集まった鶴は、平和集会の会場に飾りつけられ、長束小学校の子どもたちといっしょに、毎年行っている平和集会に参加したそうです。全国の学校でもこのプロジェクトをきっかけとして、平和の学習に取り組んでいたようです。このホームページには送った学校やクラスのリストがありリンクがはられています。
 また、「平和に関する意見交換会」として、沖縄県天願小学校 (http://www.ii-okinawa.ne.jp/people/tengan/index.html;この学校のホームページにも平和の実践有り)とNTTのテレビ会議システム「フェニックス」を使用した6年生社会科の授業実践が紹介されています。お互いに平和に関する質問の受け答えを行っていたようです。「歴史の証言」のページでは、戦後50年以上を経て初公開される貴重な戦争体験者の証言を見ることができます。 その他にも、「平和交流会 」として元アメリカ軍の方を迎えての平和交流の様子や、「今までの平和学習の記録」として、昨年までこの学校で行われた平和の取り組みを見ることができます。
長崎県城山小学校(http://www.us1.nagasaki-noc.ne.jp/~nacity/shiroyam/;図2)
 この学校は長崎にあって被爆した経験を持ち、当時の多くの遺跡が残っているそうです。この特別な環境を生かし、全校をあげて平和の学習に取り組んでいるようです。ホームページの発信内容もすべてが平和に関することになっています。毎月9日に行っている平和記念式を中心に平和の学習が行われているようで、「平成9年度の取り組み」や「平成8年度の取り組み」からその様子を見ることができます。例えば、8年度の4年生「原爆遺構から平和への発信」では、どうやって平和への発信を行っていくのか子どもたちが考えた構想の発表が紹介されています。2年生「嘉代子桜から平和への発信」からも校庭にある桜を素材にした平和発信の構想が紹介されています。また、これらの発表を聞いた生徒の感想なども載っています。子どもたちが中心となって平和の取り組みが進んでいることが見て取れます。「資料室」では、実際に学校に展示されているもののなかから、一部の被爆遺品が紹介されています。また、校内にある平和施設の紹介や、周辺にあるさまざまな平和施設の画像を見ることもできます。
沖縄県美里高等学校(http://www.misato-hs.okinawa.okinawa.jp/;図3)
 このホームページには、最初に日本国憲法第九条が載っています。「慰霊の日」特集では、1997年度特設授業(3年4組)についての授業案や授業内容をみることが出来ます。この授業はインターネットを活用した実践です。「授業内容」には、沖縄戦の年表をはじめ米軍基地の話題などが載っており、また沖縄の問題に対して学習で使用したリンクが載っています。「修学旅行NET 」では、「沖縄が抱える問題」として、「米兵3人による婦女暴行事件に抗議する」など関連のサーバへのリンクリストがあります。沖縄に修学旅行に来る人たちの事前調査の貴重な情報源(収集の出発点)となることでしょう。当然ここには観光情報など、沖縄情報も網羅されています。
小中学生のためのマルチメディア平和学習フォーラム(http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/~heiwagk/;図4)
 この取り組みは、藤沢市と平和の輪をひろげる実行委員会や慶応大学藤沢キャンパスが中心となって行われたようです。藤沢市の小中学生数名を長崎に派遣し、さらに現地の中学校の生徒と被爆者と共に、藤沢市に居る小中学生を結んでテレビ会議が行われたようです。内容は長崎に派遣される子供たちからの報告を中心に行われたとのことです。なお、テレビ会議は今年の8月9日に行われ、その模様はインターネットでも生中継されたそうです。このページには、「事前の研修の様子」として、パソコンの使い方にはじまり、ホームページを作成するなどの様子が載っています。「会場準備の様子」や、「団結式の様子」など、本番へ向けての取り組みの様子がわかります。報告書は現時点では残念ながらみることはできませんでした(リンクはあるのですが)。学校から公開されているホームページではありませんが、小中学生がとりくんだものですので、学校のホームページとしてここに紹介しておきます。

3、学校以外からの発信

平和と核について考えよう(http://www.jca.or.jp/~yk/peace-j.html;図5)
 平和に関する情報を網羅したリンク集を見つけることはできませんでしたが、特に核に関するリンク集としては、日立製作所中央研究所 の金田さんによるページがあります。トップページにはさまざまなリンクが張られていますが、そのなかの「平和と核」という部分にあります。そこには「平和と核に関するインデクス 」、「広島と長崎」、「核廃絶と核軍縮 」、「核実験への抗議 」 、「その他」といったようにリンクがジャンル分けされています。日本や海外の関連するホームページにリンクされています。
●広島市・長崎市・沖縄県からの発信
 自治体のホームページからも平和に関する情報が発信されています。特に、被爆した経験を持つ広島、長崎、そして米軍基地のある沖縄は、平和への情報発信に力が入っています。
 広島市(http://www.city.hiroshima.jp/japanese/;図6)のホームページには、原爆・平和情報があり、「世界遺産」には原爆ドームの詳細な解説があります。「広島原爆被害の概要」では、投下された原子爆弾の解説や実際の被害の様子を画像でみることができます。また、市長による平和宣言や核実験への抗議文を参照することもできます。
 長崎市(http://www.us1.nagasaki-noc.ne.jp/~nacity/)では、特に「長崎市平和宣言」のホームページ(http://www.us1.nagasaki-noc.or.jp/~nacity/na-bomb/index.html;図7)から平和関連の情報が発信されています。特に長崎にある被爆校の平和教育についての紹介があります。そのなかの「被爆教育の取り組み」では、長崎にある学校の平和教育へのとりくみが紹介されています。「被爆教師の手記」や「被爆者の語り」も見ることができます。また、さらには、「長崎原爆資料館」ホームページには展示に関する詳細な紹介もあります。
 沖縄県(http://www.pref.okinawa.jp/;図8)のホームページには、「沖縄基地問題」として、大田知事訪米計画のあらまし(平成9年4月)など、これまでの基地問題に関する政治的なやりとり等を参照することができます。
平和資料館(http://www.jca.or.jp/JWRC/index-j.html;図9)
 日本の戦争責任資料センターが作成しているこのホームページは、「[常設展] 日本の侵略展 on WWW」として、「中国の戦線で」や「東南アジアと太平洋戦争」「朝鮮への侵略をふり返る」などの項目があり、日本の戦争責任について考えさせられるページです。例えば「中国の戦線で」では「 教えられなかった歴史 」として年表があったり、「首都南京に攻め入る日本軍 」等といった解説をしています。大変詳しい解説となっています。「[報道局] 声明・レポート/署名」では、日本の戦争責任資料センターの声明・レポートを参照できます。現在は工事中ですが、Q&Aや文献などの項目も準備されています。
A-Bomb WWW Museum(http://www.csi.ad.jp/ABOMB/;図10)
 このホームページは原爆についての情報が提示されています。原爆についてに正確な情報を提示していこうという趣旨のもとに、さまざまな人たちが協力して平和のために作られたホームページのようです。原爆関連のホームページからはほとんど必ずといっていいほどリンクされているページのひとつです。「原爆について」では、爆発によるエネルギーや、熱の話などの解説などがあります。また、「平和記念館からの展示物」や、「ある子どもの経験」など、原爆についてのさまざまな資料があります。
Human Zoo(http://www.osk.threewebnet.or.jp/~tozu/;図11)注1
 大阪府佐野中学校に勤務しておられる戸津先生によるホームページです。広島、長崎、沖縄の平和に関わりのある場所の画像をみることができます。例えば、「ヒロシマ」では、広島市平和記念公園や岩国米軍基地などの画像が集められています。「平和のリンク集」もあります。リンクリストが充実しており、個人的に平和情報を発信しているところへリンクが多いです。「平和の掲示板」として、平和のことを話りあう場も準備されているようです。個人で平和の発信を行っている人も多くいます。

4、総合学習に取り組むページ

 今回で総合学習関連のホームページ紹介が最後ですので、総合学習の取り組みを行っているホームページのなかでも、特におすすめのページを一つ紹介しておきます。
GAEAプロジェクト(http://gaea.jr.chiba-u.ac.jp/;図12)
 GAEAプロジェクトホームページでは、さまざまな総合学習のとりくみが行われています。参加している学校は、上越教育大学学校教育学部附属中学校、千葉大学教育学部附属中学校、群馬県前橋第四中学校などを中心に複数の学校があります。平和へのとりくみとしては、核実験のアンケート調査などを行っています。集計結果や議論なども見ることができます。他にも、環境では「ゴミ問題ランキングコーナー」などや 、国際理解では「国際理解フォトランゲージ 」、AIDS問題、など総合学習に関することが全般的に行われています。ホームページ上で自動的に登録、表示が行われるような仕掛けがあり、ページ上でコラボレーションができるようにもなっています。

5、おわりに

 今回は平和教育関連のホームページを中心に紹介してきました。次回も授業に役立つホームページを紹介していきます。


お詫びと訂正(98年2月4日):
 NEW97年11月号で紹介した本原稿の、上記ホームページ「Human Zoo」の作者が、佐野先生となっておりましたが、戸津啓司先生の誤りでした。大変失礼したしました。お詫び申し上げます。


図1 広島県長束小学校ホームページ
図2 長崎県城山小学校ホームページ
図3 沖縄県美里高等学校ホームページ
図4 小中学生のためのマルチメディア平和学習フォーラムホームページ
図5 金田さんによる平和と核について考えよう
図6 広島市ホームページ
図7 長崎市平和宣言ホームページ
図8 沖縄県ホームページ
図9 日本戦争責任資料センターによる平和資料館
図10 A-Bomb WWW Museum
図11 佐野先生によるHuman Zoo
図12 GAEAプロジェクトホームページ


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