授業で役立つホームページ

第6回
 環境教育のホームページ


市川 尚(東北学院大学大学大学院人間情報学研究科)
鈴木 克明(東北学院大学教養学部)

1、はじめに

 前回は社会科のページを紹介しました。小中高からだけでなく自治体や企業など様々なところから情報が公開されていました。今後は数回かけて総合学習関連のホームページを紹介していきます。今回は環境教育のホームページ紹介です。環境の情報は、特に教育機関と政府機関からのものが多くなっています。
 小中高のホームページで環境教育がどのように公開されているのかを調査したもの(96年8月)を図1に示します。最も多いのはアーカイヴ的な発信で、授業実践例や子どもたちが書いたレポート等といったものがありました。また、コラボレーション的な発信として、子どもたちが中心となって環境問題に関連する調査を日本各地の学校で行うプロジェクトもありました。グラフ(図1)の数値には表れていませんが、実際のところ環境に関するコラボレーションは多いようです。自分たちのホームページに調査結果を公開するのではなく、結果を登録するためのホームページ(例:酸性雨ホームページなど)が存在しているため、小中高ホームページを対象にした調査では、数に表れていないのです。校種別では小学校と中学校が高校を若干上回っていました。
 前回同様、まず学校のホームページのうち環境関連の情報が充実しているサイトを紹介し、その後学校以外から公開されているページを紹介していきたいと思います。

figure1
図1 小中高ホームページから発信されている環境教育情報の傾向(96.8)


以前紹介したページのうち、環境の情報が載っているところをいくつか紹介します。
徳島県鳴門教育大学の「環境のページ」(http://www.naruto-u.ac.jp/kankyou/kankyou.html)
 環境教育を実践している学校の紹介や、環境に関連したホームページ(日本と海外)のリストがあります。環境について情報をさがすなら、まずはじめにこのページに行ってみることをオススメします。
愛媛県新居浜市立東中学校(http://www.naruto-u.ac.jp/nagase/nagase.html/)
 技術科で実践した環境教育が載っています。
酸性雨調査のホームページ(http://www.edu.ipa.go.jp/kyouiku/100/project/prjlist/joint/acid/)
 日本各地の学校から酸性雨調査のデータが集められています。

2、アーカイヴ的発信をしているページ

東京学芸大学教育学部附属世田谷小学校6年2組(http://www.u-gakugei.ac.jp/~kamata/;図2)
 このクラスでは総合学習として環境問題に取り組んでいるようです。子どもたちが例えばリサイクルや大気汚染、森林などのテーマごとにグループに分かれて、自分たちの活動をアピールしています。また、子どもたち個人でも水俣病の学習をまとめたり、自由研究として大気汚染や酸性雨のレポートを公開しています。例えば、大気汚染のレポート第1弾では植物の成長と排気ガスの関係を詳しく調べたものが載っています。みんなかなり熱心に取り組んでいることがホームページを通して伝わってきます。どのレポートもとても小学生が作ったとは思えないほどよくまとまっています。
大分県緒方高等学校(http://www.justnet.or.jp/home/ogata-hs/WELCOME.HTM;図3)
 このページの「環境教育」では、子どもたちの「樹木による大気汚染の研究」が載っています。調査の方法をはじめとして、その測定の結果などがあり、参考になります。また、この学校の塚田先生は大気汚染の程度を知るために二酸化窒素を測定しており、そこへのリンクがはられています(http://www.coara.or.jp/~kiyotaka/index.html)。平成3年度から大分県での測定をはじめたようですが、平成8年度には全国的な調査として発展していったようです。日本各地にいるインターネットによる協力者たちとのコラボレーションの成果として、二酸化窒素測定の方法や分析結果(測定された値や全体の比較を行ったグラフ等)が閲覧できます。また、日本全国の測定ポイントの濃度がひと目でわかる二酸化窒素濃度マップもあり、課題研究を「活動日誌」としてこれまで行ってきた活動の流れがわかります。さらには環境関連のリンクも充実しています。

3、コラボレーション的なページ

 以下は小中高のホームページではありませんが、各学校が参加しているプロジェクトなので、学校のコラボレーションとして紹介しておきます。
GLOBEプログラム:GLOBE Japanホームページ(http://www.fsifee.u-gakugei.ac.jp/globe/;図4)
 世界55カ国以上、4000を越える学校の教師や子どもたちが参加して、気象等の環境に関するデータを収集・報告することで、環境問題に取り組む科学者に協力するというスケールの大きい試みです。このページでは観測の方法を参照したり、日本の学校によってこれまで収集されたデータを検索することができます。日本からは21校の中学校が参加しており、自分の学校で測定したデータを送っています。例えば広島大学付属福山中学高等学校ホームページ(http://www.hirosima-u.ac.jp/japanese/fukuyama/)には、学校での観測の様子などGLOBEの取り組みについて詳しく載っています。また本拠地であるGLOBE US(http://www.globe.gov/)には世界各国からデータが集められ、グラフィカルな観測データを参照することもできます。
GeoTouchプロジェクト(http://www.apic.or.jp/projects/geotouch/GeoTouchSJIS.html;図5)
 GeoTouchプロジェクトは世界中の子どもたちのチームワークによる地球環境観測プロジェクトだそうです。APIC教育ネットのプロジェクトの一環として行われています。このページでは、その子どもたちの活動内容を見ることができます。違う国の子どもたちとグループを組み、ディスカッション等をおこなっているようです。「グループディスカッション」では、グループ分けと問題点に対する子どもたちの意見を参照することができます(英語ですが)。また「Webお絵描きコンテスト」では、各国の子どもたちがテーマ(環境破壊等)に沿って書いた絵を参照することができます。「地域・活動レポート」では牛久南中学校の活動の様子が見ることができます。

4、収集

 ここでは環境関連のホームページとして多くのページからリンクをはられていたものを見ていきます。特に環境問題を考える際に役立ちそうなものをいくつか紹介します。リンクリストとして最も充実しているのは、前掲した鳴門教育大学の「環境のページ」です。
佐賀県大和中学校(野北先生)による「環境問題の部屋」(http://www.saga-ed.go.jp/ps/nokita/kankyou/kankyou.html;図6)
 環境問題の情報を収集するためのページです。しかしこれはただのリンクリストではなく、そのテーマ(例えば、地球の温暖化など)に関する解説が最初にあり、後にその内容が詳しく紹介されているホームページをリストしています。環境問題について学ぶとともに、自然に他のホームページへアクセスして情報収集ができるようになっています。また、酸性雨や温暖化などの環境問題を生徒が調査した結果も報告されています。また、このページを研究授業で活用した様子を紹介したものが、佐賀県大和中学校のホームページ(http://www.saga-ed.go.jp/school/yamato-jhs/jugyo/)に載っています。
環境庁による環境情報システム:EICネット(http://www.eic.or.jp/;図7)
 このページには環境庁が提供している行政情報、例えば白書などの資料や法令や条例等の情報が載っています。またその他にも環境に関する様々な情報が提供されています。「エコライフガイド」では、環境問題を考えるためのガイドが用意されています。その中には「今、地球は!」として環境問題にはどんなものがあるのかが紹介されています。
「環境問題一般入門」では環境問題の重要なトピックスの紹介、「教育ガイド」では、環境教育映像教材データベースとして教材を検索することもできます。地球温暖化をはじめとして各問題について整理したものなどがあり便利です。また「環境情報ガイド」は、環境に関するあらゆること、例えば用語解説をはじめとして環境問題、法令、団体等の索引があります。キーワード検索をかけることもできます。「環境クイズ」といってクイズを解いていくものも用意されています。
NTTによるWNN-ECOLOGY(http://www.wnn.or.jp/wnn-eco/;図8)
 「エコニュース」は月ごとの環境に関するトピックスが載っています。その中の「環境イベントカレンダー」には自分から登録することもできます。「地球温暖化防止情報」として、温暖化の詳細な解説や行われている取り組みなどが紹介されています。「100万人の誓い」といった温暖化を防ぐための呼びかけもあります。「環境ゲーム」はshockwaveプラグインが必要ですが、地球温暖化を防止するという内容です。また、「エコクッキング」として環境のことを考えた料理の紹介や、「グリーン購入」では環境にやさしい製品を買うため情報が紹介されています。「商品選択のための環境データベース」として環境にやさしい商品をさがすこともできます。その他にも自然とふれあおうと題し、生き物についての調査も載っています。NTTから公開されている情報には、他にも「自然とマルティメディア」(http://www.wnn.or.jp/wnn-n/)が環境サイトからリンクされていました。

5、おわりに

 今回は環境教育のホームページを紹介してきました。また、本誌97年2月号付録として環境問題のホームページ紹介がありましたので、重複してくる面もありますが、そちらもご覧ください。次回も総合学習のつづきとして、国際理解に関するホームページを紹介する予定です。

図2 東京学芸大学教育学部附属世田谷小学校6年2組ホームページ
図3 大分県緒方高等学校ホームページ
図4 GLOBE Japanホームページ
図5 GeoTouchプロジェクトホームページ
図6 佐賀県大和中学校(野北先生)による「環境問題の部屋」
図7 環境庁による環境情報システム:EICネット
図8 NTTによるWNN-ECOLOGY


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