授業のためのホームページ案内

第5回(最終回)
「1000件を越えた小中高ホームページ -連載のまとめにかえて-」


市川 尚(東北学院大学大学院人間情報学研究科)
鈴木 克明(東北学院大学教養学部)

1、小中高ホームページは1000件の大台に!

 授業のためのホームページ案内では、これまでに小中高のホームページを中心に多くのホームページを紹介してきました。最終回は、新しい情報を提供します(といっても、この号が出るころには古い情報となっていることでしょう。インターネットの進歩ははやいですから)。
 第一回で紹介したように、筆者らは去年の8月、今年の1月、そして8月と小中高のホームページ調査を行いました(市川・鈴木、1996)。また今回のために、12月にも件数だけ調査しました。その結果のうち、ホームページ件数の推移を図1に示します。昨年の8月には98件だったホームページの件数は、1年後の96年8月には6倍の603件になっていました。さらにその4カ月後の96年12月には、なんと1030件!になっていました。小中高のホームページはとうとう1000の大台に突入したようです。12月時点での小中高の内訳は、小学校314件、中学校271件、高等学校455件でした。なんと96年8月から12月まで1日3.5件の割合で増加していた計算になります。リストから消えたページもありましたが、10件ぐらいと微々たるものでした。ホームページの検索には、インターネットと教育(http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/educ/)、日本の学校(http://KIDS.glocom.ac.jp/Schools/Schools.html)、Yahoo! Japan(http://www.yahoo.cp.jp/)を使用しています。また、小中高のホームページとしてリストされているものでも、他の学校から紹介されているもの(例えば鹿児島水産高校http://kasuiko1.kasuiko-hs.makurazaki.kagoshima.jp/の中に紹介されている学校)など明らかに関係者からではないものなどは極力省きました。また、異なる校種にまたがる学校を一番上の校種に属するとみなしています(例えば、〜中学高等学校は高校扱い)ので高校の件数が多くなっています。
 このようにホームページの公開はますます活発になってきているようです。

2、新顔のおすすめホームページ

 8月以降に新しく見つけたホームページの中から、知っておいて損のないようなページを紹介します。ただし、本当に最近立ち上がったのかは首をかしげるところで、もしかしたら筆者がみつけられなかっただけかもしれません。学校のホームページと限定しても、すべてを探し当てることなど不可能なほどホームページの量は多くなって来ているのです。
兵庫県芦屋高等学校(http://www.sanynet.ne.jp/~ken-ashi/;図2)
 阪神大震災の情報・記録が載っています。被災地の学校ならではのホームページであり、非常になまなましい情報が載っています。また、「復興の記録」として生徒が調べた復興状況のレポートもあります。阪神大震災についての解説は、小中学校の子供たち用も準備されています。
石川県高岡中学校(http://www.nsknet.or.jp/~htakano/;図3)
 このページの「数学準備室」には、Javaで作られた教材があります。三平方の定理の証明は、図形がアニメーション表示されます。また、フラクタルやビリヤードというものもあります。Javaについてわからない人は、ホームページ作成講座を参照してください。
東京都第4大島小学校(http://www.mef.or.jp/~ktanaka/;図4)
 このホームページは、ペットボトルプロジェクトと題し、ペットボトルを使ったさまざまな学習を紹介しています。また「田中先生の部屋」には、先生個人の学会発表の論文などが載っています。
秋田県大潟小学校(http://www.ogata.or.jp/ac/syou/syou.htm;図5)
 このページには、「お米ができるまで」という社会科副読本として、大潟村のお米づくりの方法が載っています。米どころならではの発信といえるでしょう。授業の資料を載せている例です。
東京都八丈高等学校「高校教師として考える」(http://www.kt.rim.or.jp/~nori-shi/koko/index-k.shtml;図6)
 八丈高等学校の先生が個人で作っているページで、パソコン授業の実践が日記風に書かれてあり、試行錯誤の様子がみてとれます。先生としていろいろな情報を発信しています。
 最近のホームページを見てみると非常にカラフルで、グラフィックなど凝ったものが多くなりました。特に最近はブラウザの下の部分に文字が流れたりと、動きが加わっています。プロが作ったのかと見間違うようなデザインのページもたくさんあります。内容の方はまだまだ充実していないものが多いですが、これからの動向が楽しみです。  しかし、以前からあるホームページだって負けてはいません。むしろ昔から公開している(有名な)ページの方が地味ながら役に立つ情報が多いように感じます。こつこつ情報やノウハウを蓄積してきた成果なのでしょう。

3、ホームページコンテストのページ

 これまでの連載で、ホームページをリストしているところを紹介してきましたが、いいホームページを紹介しているページといえば、ホームページコンテストをやっているページです。なんといってもコンテストで受賞したページを紹介しているのですから。特に学校関連のホームページコンテストをやっているページを紹介します。
SchoolPage(http://www.asahi.com/schoolpage/;図7)
 朝日新聞社とNECが提供するこのページは、小中高の子どもたちのために作られたページです。そのなかで、「スクールページコンテスト」という小中高校生を対象としたホームページコンテストが96年11月17日に行なわれました。その結果を載せ、受賞校へのリンクが張られています。応募総数が百校を超えていたそうで、さすがにユニークなホームページが紹介されています。
AVCC(http://www.avcc.or.jp/;図8)
 財団法人AVCC(視聴覚コンサルタントセンター)では、「公共ホームページコンクール」と題して、コンクールを行なっています。こちらは、自主登録の他に自動収集したホームページを対象に行なっているようで対象数も多く、学校のページだけに限定していませんから広範囲に渡っています。昨年度の結果が載っており、教育実践賞、電子教材賞など各賞を受賞したページが公開されています。またこのページでは、教育実践活動に役立つサイトを2か月に1回紹介しており、授業のために使えそうなホームページをたくさんリストしています。今年度もコンクールは行なわれるそうですので、結果発表が楽しみです。今年度末にぜひ覗いて見て下さい。
キッズページ(http://KIDS.glocom.ac.jp/;図9)
 このページは、「Best School Web Site」として優秀なホームページを表彰しています。1996年8月集計の結果が載っており、受賞した小中高ホームページが紹介されています。
 その他のコンテストとして、高校生ホームページコンテスト(http://www4.s-yashima.ac.jp/)は、96年12月20日に発表が行なわれるそうです。

4、おわりに

 これまで授業のためのホームページを、大ざっぱに二つにわけて考えてきました。「授業のなか」で子どもたちのために使えるページと、「授業づくり」の際に教師のために役立つホームページです。授業形態は、いろいろ考えられますが、先生が主体で情報提示型の場合と、生徒が主体で行なう形があるでしょう。これにはコンピュータ環境、特にインターネット環境が問題となってきます。しかし、インターネットにつながっていなくても、ローカルディスクに保存するような手法ならびに、CD-ROM等の利用をすることで、ホームページを活用できるという話もしました(インターネット資源をパソコン通信からダウンロードできるようにしようという、ネットエスケープ計画というのもあるようです(http://www.educ.hiroshima-u.ac.jp/~netesc/home/)。
 「授業のためのホームページ案内」は、今あるホームページを利用するということに焦点をあててきました。発信されているページのうち、その種類をできるだけ多く紹介したかったので、ひとつひとつは詳しく紹介できませんでした。その分、授業に役立ちそうなページの種類を網羅してきたつもりです。
 ホームページの勢いは、これから先もしばらくは止まらないことでしょう。こねっとプラン対象校のホームページも徐々に目につくようになってきました。ますますホームページを探すことが楽しくなりそうです。
 紹介したホームページを見て、いいホームページに刺激を受けたみなさんは、今度は自分で作ってみたくなってしまったのではないでしょうか?あなた自身がホームページ増加の原因のひとつとなる日もそう遠いことではないかもしれません。

参考文献
市川尚・鈴木克明(1996)「小中高ホームページの調査研究」『日本教育工学会第12回大会講演論文集』 pp.133-134

図1 小中高ホームページ件数推移グラフ
図2 兵庫県芦屋高等学校ホームページ
図3 石川県高岡中学校「三平方の定理の証明」
図4 東京都第4大島小学校ホームページ
図5 秋田県大潟小学校「お米ができるまで」
図6 東京都八丈高等学校「高校教師として考える」
図7 SchoolPage「スクールページコンテスト」
図8 AVCCのホームページ
図9 キッズページ「Best School Web Site」


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