授業のためのホームページ案内

第3回
「授業の中で使うホームページ」


市川 尚(東北学院大学大学院人間情報学研究科)
鈴木 克明(東北学院大学教養学部)

1、授業の中で使うとは?

 授業のためのホームページ案内第3回目は、予告通り、授業の中で使えるホームページを紹介していきます。「授業の中」で使うといってもいろいろなパターンが考えられます。これは、学校のコンピュータ環境に深くかかわってきますが、コンピュータの台数と、それよりもインターネットにつながっているかつながっていないかということが問題です。ホームページを使うといっても、コンピュータと子どもが向かい合ってやる場合もあれば、先生がコンピュータを使って、子どもたちに提示してやるやりかたなどがあります。また、現在の学校はホームページを持っている学校がほんのひとにぎりしかない(全国4万校のうちの600校。1.5%にあたる。)ことからもわかるように、ほとんどの学校はまだインターネットに接続していません。しかし、第一回で述べたように、たとえ学校がインターネットにつながっていなくても工夫次第でどうにでもなります。ネットスケープのキャッシュや、オートッパイロットソフト、ホームページ収録のCD-ROMを利用したりと授業にインターネットを活用する方法はごろごろ転がっています。ローカルディスク上にホームページを持って来さえすれば、ネットワークなしでインターネットの疑似体験が可能になるのです。それを子どもたちの使うコンピュータにいれれば、本当にネットサーフィンをしているかのようにふるまいますし、先生のコンピュータにいれておけば、一斉授業で見せることもできます。

2、授業中に使えるホームページ紹介

●データベース・検索
 滋賀県平野小学校(http://hiranosv.hirano-es.otsu.shiga.jp/;図1)は、琵琶湖の鳥・プランクトン・魚に関する画像データベースや、日本各地の産物が見られるページなどがあります。学校のページでもこのように、情報(データ)を集め、公開しているところもあります。調べものなどをするときにデータベースは有効なツールとなるでしょう。
 日本産アリ類カラー画像データベース(http://www.dna.affrc.go.jp/htdocs/Ant.WWW/HTMLS/INDEX.HTM;図2)は、非常に完成度の高いデータベースです。ここにくれば日本にいるアリに関してはなんでもわかってまうでしょう(ただ、ちょっと気持ち悪いかもしれませんが…)。検索システムも充実しており、普通の検索から、絵をみながらその特徴を同定していくものまであります。解説もかなり詳しくのっています。このようなデータベースがもっと増えてくれるといいのですが、まだほとんどありません。
●授業に使えそうなネタをまとめているところ
 前回、2次情報としてのリスト(リンク集)をいろいろ紹介しましたが、今回は豊橋技科大学の山本さんによる、「全国の方言集」(http://www.smlab.tutkie.tut.ac.jp/dialect/;図3)を紹介します。
 このページは、全国の方言を集めたものです。日本地図があり、知りたい方言の県をクリックすると、その地域の方言や、方言が詳しく載っているホームページへのリンクが張られています。方言について学ぼうという授業のときに使えると思います。
●最新の情報
 日本気象協会(http://www.jwa.go.jp/;図4)のホームページでは、気象衛星ひまわりの画像が見られます。注目すべきところは、その画像は時間を追うごとに刻々と変化(3時間ごと)していくということです。つまり、ここに来れば現在の最新の情報を得ることができますし、時間的な変化も見ることができます。ほかにも、定点で写真をとりつづけているところもあります。
 また、原俊雄さんによる「新聞の街角」(http://www.threeweb.ad.jp/~harahara/not/index.htm;図5)は、日本全国各地で公開している新聞社のホームページをリストしています。新聞社のホームページは日々更新され、速報などもかなりのスピードで載せられています。時事問題を調べるときになどには便利です。
●地域の情報
 地方自治情報センターによる「NIPPON-Net」(http://www.nippon-net.or.jp/index.html;図6)は、地方公共団体のホームページを集めているところです。そのリストがあるばかりでなく、キーワード検索がかけられます。主に地域の情報を得ることができます。地方公共団体だけでなく、全国の学校も大抵は自分の地元の紹介を載せています。また、地域の観光案内以外にも、その地域にゆかりの人物の紹介などがのっているところも多数存在します。例えば、宮沢賢治についての情報が、盛岡白百合学園高等学校(http://morioka-shirayuri.morioka.iwate.jp/;図7)、そして岩手県花巻市(http://www.michinoku.or.jp/~hanamaki/menu.html)から公開されています。
●子どもたちがみてまわる
 三重県鳥羽水族館のホームページ(http://www.aquarium.co.jp/welcome.html;図8)にはキッズページというのがあり、子どもたちのためにひらがなを多くし、また語り調子でわかりやすくなっています。また、水族館のなかにいる動物についてもきちんと解説がされています。さらに「今週の動物」と題し、毎週数匹の動物を紹介しています。Q&Aなどもあります。画面構成や内容などを子どもたち向けに作られており、子どもたちのことを意識したページ作りになっています。
 学校のページでも、神奈川県林間小学校(http://www.rinkan-es.yamato.kanagawa.jp/~rinkan-d/;図9)などのように、ひらがなのページを用意し、小学校低学年でも見られるようなページ作りをしているところもあります。
●他校の子どもたちの作品
 各学校のホームページが数多くありますが、そのなかには子どもたちの活動・作品などさまざなこと書かれています。例えば、東京都赤羽台西小学校(http://www.sainet.or.jp/~noma/aka/school_j.html;図10)
には、「子ども美術館」として子どもたちのさまざまな美術作品(をのせているところがあります。そういったものを他の学校の子どもたちが見るといい刺激になるのではないでしょうか。また、参考になるものもあると思います。作品を載せることで、作った生徒も意欲をかきたてるものもあるかも知れません。
●学校からの情報発信
 群馬県前橋市立第四中学校
(http://www.daiyon-jhs.maebashi.gunma.jp/;図11)は、「四中から世界へ」と題し、核実験やエイズなどの問題を取り上げています。生徒の意見や調査結果を世界に向けて発信し、それについてホームページ上でアンケートをとってその結果を公開しています。また、このページはホームページ上にきちんと入力場所(フォーム)をつくり、簡単に意見がもらえるように工夫しています。まさに、授業で生徒たちがインターネットを活用しているという雰囲気が伝わってくるページです。また、ここのページは問題をなげかけてくれているので、他の学校の人たちにとっても使える情報です。また、その問題に関する知識を深めるためのホームページもたくさんころがっていることでしょう。
 また、その地域ならではの問題をとりあげている学校のホームページもあります。たとえば、沖縄県美里高等学校(http://misato-hs.misato-hs.okinawa.okinawa.jp/;図12)では、沖縄基地問題をとりあげています。
●プロジェクト
 酸性雨調査のホームページ(http://www.edu.ipa.go.jp/kyouiku/100/project/prjlist/joint/acid/;図13)は、日本全国で行っている酸性雨調査のプロジェクトのホームページで、各地の学校からデータが集められています。このような各学校で共同しておこなっているプロジェクトも数多くあります。これらのプロジェクトに授業で参加するにこしたことはありませんが、プロジェクトに関わっていない学校でもこのホームページで他の学校の子どもたちが観測データの閲覧ができるので、資料として使う手もあります。
 また、「全国発芽マップ」(例えば、岡山県岡山芳泉高校、http://sasagase.hosen-hs.okayama.okayama.jp/;図14)は、各地の学校でホームページ上に同時期にたねを植えた成長の記録を載せていき、地域間の差をみていこうというものもで、今年は綿、去年はかぼちゃでした。

3、まとめ

 今回は「授業の中」で使えるホームページを紹介してきました。授業で使えるホームページは、教科ごと、先生ごとその授業における使い方しだいで、無限にあるといっても過言ではありません。先生がこれは使えると思えば、その時使えるホームページとなるのですから。それを探すためのリストは、前回までに紹介しておきました。ほかにもたくさんの検索サーバ(yahoo!など)があり、そのへんはみなさんもよくご存じのことでしょう。あるいは、生徒が見つけて来てくれるかもしれません。どうしても、見つからないというときは、授業でほしい情報を他のホームページを公開している学校にお願いして作ってもらうということも可能でしょう。とにかく、先生が使う気になればいくらでも情報はころがっています。自分の授業にマッチした情報を提供しているページを、ぜひさがしてみて下さい。
 次回の授業のためのホームページ案内は、授業づくりの段階で役に立ちそうなホームページを紹介していきます。


図1 滋賀県平野小学校の「琵琶湖のプランクトン」
図2 日本産アリ類カラー画像データベース
図3 豊橋技科大学の山本さんによる「全国の方言集」
図4 日本気象協会「ひまわり」
図5 原俊雄さんによる「新聞の街角」
図6 地方自治情報センターによる「NIPPOM-Net」
図7 盛岡白百合学園高等学校「宮沢賢治ワンダーランド」
図8 三重県鳥羽水族館ホームページ
図9 神奈川県林間小学校「ひらがなのページ」
図10 東京都赤羽台小学校の「子ども美術館」
図11 前橋市立第4中学校の「四中から世界へ」
図12 沖縄県美里高等学校の「基地問題Q&A」
図13 酸性雨プロジェクトのホームページ
図14 岡山芳泉高等学校の「全国発芽マップ」


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