授業のためのホームページ案内

第1回
「ホームページを授業で活用するために教師が持つべき視点とは?」


市川 尚(東北学院大学大学院人間情報学研究科)
鈴木 克明(東北学院大学教養学部)

1、インターネットが学校に

 インターネットが少しづつ学校に入ってきています。去年からはじまった学校にインターネットを導入してみようという試みである100校プロジェクトは早くも終盤にさしかかっています。指定校の先生方は試行錯誤を繰り返しながら、さまざまな実践を行っているようです。次にはこねっとプラン(1000校プロジェクト)がひかえており、ますます学校とインターネットが関わりを持っていきそうです。
 インターネットには様々なサービスがありますが、ホームページは今や聞いたことがない人がいないくらいメジャーなものになってきています。企業や個人、行政機関などがホームページを公開しているなか、教育機関も例外ではありません。筆者らは去年の8月(市川他、1995 )、今年の1月(市川・鈴木、1996)、そして8月と小中高のホームページ調査を行いました。その結果からホームページ件数の伸びを、図1に示します。

figure1
図1 小中高ホームページ件数推移

 去年の8月には98件だったホームページの数は、96年8月現在では600件を越えています。1年間でなんと6倍にも膨れあがり、また増加率からみても、95年8月から96年1月までは1日1件のペースでしたが、96年1月から96年8月までは1日1.7件のペースに増加しました。このようにホームページの公開は活発になってきています。

2、学校がインターネットにつながっていなくても

 ホームページの授業活用なんて、自分の学校がインターネットに接続していないから関係ないなと思っている方々も多いことでしょう。しかしホームページを公開している小中高のなかには、学校からではなく教師個人でホームページを公開しているところもあるのです。このように学校ではインターネットを導入していなくても、教師が個人的にインターネットを活用している動きもあります。ただし、ホームページを公開することは費用・手間などの面を考慮しても、まだまだ学校にとっては困難なことといえるでしょう。
 しかし公開はできなくても、見てまわるだけならそんなに難しくありません。数多く増えたホームページをただ黙って見過ごすのももったいない話です。なんらかの形で授業へ利用することができるはずです。学校がインターネットに接続されていない環境でも、例えば自宅でホームページを見てまわり、それをコンピュータに保存しておいて、後で授業の時に子供たちに見せるという方法を実際にやっている例があります。さらに、ホームページの内容をCD-ROMで提供して、インターネットにつながっていない人に便宜をはかってくれる例も増えてくるでしょう。
 先生の工夫次第では、疑似体験させたり、資料として提示したりなど、なんとかなるものなのです。そこで、授業に活用できそうなホームページを紹介していこうというのがこの連載の目的です。

3、ホームページは授業に活用できるのか?(連載の予定)

 ホームページを授業のために活用していくには実際どのような場面が考えられるのでしょうか。大ざっぱに2つにわけることができます。授業のなかで活用するか、授業を考える際に活用するかということです。次回はまず授業に使えそうな教育関係のホームページを、最新情報をまじえながらざっと総覧してみます。また、ホームページを見る上での注意点についても触れます。
 第3回では「授業のなか」での活用、つまり子供たちのために使えるページについて見ていきます。インターネットは普段は手にすることのできない「生」の情報を得ることができますし、ホームページはマルチメディア情報を扱えるため、最新の画像等も見ることができます。そのような優秀な教育リソースを紹介していきます。
 第4回は「授業を考える際」に役立つ情報が得られるホームページを紹介していきます。ホームページには教師のための情報もたくさん公開されており、授業の指導案などを検討したりする際に役立つでしょう。例えば、各学校のホームページは、授業実践の情報を載せています。また、文部省のホームページのように教師に関わりのある情報を公開しているサイトなどもあります。
 そして最終回には上記に取り上げなかったが、知っていてほしいおすすめのページを紹介するとともに、まとめとして授業でのホームページを活用法を提案します。今後の連載では、以上の内容を予定しています。

4、とりあえず教育関係のホームページをみてみよう

 ホームページはその存在を知らなければおしまいです。しかし、私たちが把握しきれないほどホームページの数は多くなっています。そこで便利なのがどのようなホームページがあるのかをリストしてくれているページです。今回は、教育関係をリストしているページのなかで最もおすすめである大阪教育大学の越桐先生が作られている「インターネットと教育」(http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/educ/;図2)というページを紹介します。このリストは更新が頻繁ですし(ということは、最新情報が載っている)、かなりのページが網羅されています。筆者も毎回活用させて頂いております。
 ぜひこのリストを見て教育関係のホームページの多さを実感していただくとともに、興味あるページをのぞいてみて下さい。
 なお、連載関連の情報は東北学院大学教育工学実習室ホームページ(http://www.edutech.tohoku-gakuin.ac.jp/;図3)に載せていきます。リンクがはってあるからページを参照しやすく便利ですし、説明不足な点を補っていきたいと思っております。ぜひ御活用下さい。

参考文献
市川尚・井口巌・鈴木克明(1995)「WWWホームページはどのように設計したらよいか〜小中高ホームページの調査・分析の観点から〜」『第21回全日本教育工学研究協議会全国大会発表論文集』,pp.65-68
市川尚・鈴木克明(1996)「WWWホームページはどのように設計したらよいか?〜小中高ホームページの現状調査・分析からの提案〜」『IMETS No. 120』,pp.24-32


図2 大阪教育大学「インターネットと教育」

図3 東北学院大学教育工学実習室ホームページ


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