技術・家庭科関連のホームページ

岩手県立大学ソフトウエア情報学部 市川 尚

はじめに

 今回は、技術・家庭科関連のホームページ紹介です。本連載では、過去に2度(1997年7月号・1999年4月号で)取り上げた内容となります。
 技術科や家庭科は、身近な生活に関わってくる部分も多く、さまざまなサイトが役に立ちます。
技術科については、教師からの発信も多く、授業実践例や教材が紹介されています。教師だけでなく、職人や企業、趣味が高じた人たちからの「ものづくり」に関する情報(伝統的なものから最新のものまで)が公開されています。また、情報とコンピュータについては、言うまでもなく、インターネット上に数多く存在します。
家庭科については、教師からの情報もありますが、企業や各団体からの情報に有用なものが多いです。主婦の方々からの公開もあります。料理のレシピ集や賢い消費者になるための知識など、暮らしの知恵袋的なものが豊富で、よりよく生活していくためのヒントが公開されています。
今回も、これまでに本連載で紹介していないページを中心に紹介していきます(以前紹介したものにつきましては、バックナンバーのページをご覧ください)。

●原先生による「長峡中学校技術科室」(http://www14.big.or.jp/~hazuha/index.html)
 このホームページは、中学校の技術科のページとして公開されており、授業の実践紹介が中心となっています。
 例えば、「ロボコン」の結果や作品の紹介、「自転車」のパンクを修理する実践紹介、「木材加工作品」の展示があります。また、できるだけ強い構造の橋をつくる「ブリッジコンテスト」、野菜作りや米づくりを行った様子が月ごとに紹介されている「栽培学習」などの実践も紹介されています。こういった実践事例は、技術科の授業を考える上で参考になることでしょう。
 「職人技」では、凧や花火、火薬、お酒等の職人技を紹介しています。歴史等にも触れている読み物のようになっており、理解を深めることができます。また、「職人技メールマガジン」として、職人技をエッセイ風に紹介するメールマガジンを発行しているようで、バックナンバー等を見ることができます。
 他にも、技術科室や教材の紹介や、情報関連では、ITや2000年問題などの情報もあります。

●村松先生・川俣先生による「ギジュツ・ドット・コム」(http://www.gijyutu.com/)
 草の根的な技術教育の活動が結集したサイトであり、授業のネタを仕入れたり、他の教師との情報交換をしたり、技術関連のホームページを探したいときなどに有用です。
 「技術のおもしろ教材集」では、技術科で使える教材が、製図・電気・情報・通信・栽培などに分類されて、写真入りでその用法と共に紹介されています。全国各地の先生方からの投稿のようで、かなりの収録数があります。
 「G-Soft」は、技術教育に関わる様々なソフトを自主的に開発することを目的としたプロジェクトであり、自動化簡易言語「オートマ君」、「立体ぐりぐり」for Windows などのソフト数点が紹介され、フリーでダウンロードして利用できます。そのソフトを利用した実践例も載っており,授業利用のイメージがつかみやすくなっています。
 「技術室わくわく探検隊」は、全国の先生方が管理されている木工室や金工室、コンピュータ室などに関する情報を公開しています。
 「技術関係URL」では、技術科に関連するホームページを、加工・材料・通信・プログラミングといった分類や、キーワード検索によって見つけることができます。登録数も多く、技術科のページを探したいのであれば、ここを利用してみるとよいでしょう。同様に、「技術の図書館」から技術関係書籍を探し出すこともできます。
 「技術教育メーリングリスト」という全国の技術教育関係者と情報交換を目的としたメーリングリストを立ち上げており、その議論の紹介を見ることができるようになっています。
 他にも、「ロボコン」の話や、ものづくりのちょっとした工夫を紹介する 「ワンポイントアドバス」(投稿形式)、技術の催し物紹介(掲示板形式)など多岐に渡っています。
 全体的に、皆で情報を共有していくという姿勢で運営されているようで、利用者が情報を提供できるようになっています(例えばURL集の新規登録等)。そういった熱心な教員たちに支えられて充実しているサイトです。

●大木先生による「松井田町立西中学校技術科」(http://www.edu-c.pref.gunma.jp/gakko/tyu/mtdnsjh1/)
 このページは、技術科ドットコムにもミラーがありますが、別枠で紹介します。中学校の先生によるページです。
「技術のわくわく探検隊」では、遺跡や博物館、大学の研究室等、技術科に関連した様々な場所への訪問記が載っています。先生の熱心さや好奇心、まさにわくわく感が伝わってきます。教師自らが訪問記を書いているところが、生徒にとっても身近で共感しやすいかもしれません。
 「おもしろ分解博物館」では、教材研究などの過程で分解した機械などの紹介です。部品ひとつひとつから構成されているということがよくわかります。なかなか見ることができない機械の中身を、ホームページから手軽に見ることができます(もちろん技術科の教材として実物を用意している先生方も多いでしょうが)。
 また、「テレビ番組」として、技術科に関連するテレビ番組を紹介していますので、テレビ欄をチェックする前にここをチェックしてもよいでしょう。他にも、教材集や、学習の様子、年間指導計画、書籍の紹介などがあります。

●荻野先生による「楽しい家庭科」(http://www3.ocn.ne.jp/~ka-ogino/)
 小・中・高等学校の家庭科の授業実践紹介が載っているホームページです。特に、地域を視野にいれた授業実践(郷土料理)の情報が充実しています。
 「教材・教具 授業いろいろ」では、布で作る三つの食品群や被服材料などの教材の紹介や、簡単野菜たっぷり朝食のおかずコンテストや調理実習の工夫といった指導案が、校種別にわけて提供されています。「家庭科の先生方の実践」では、新潟県内の高校家庭科教員の実践例が、いくつか紹介されています。
 「郷土の料理をとりいれた学習」では、郷土の食材を活用した調理実習として、県内(地元)の料理を題材にとりいれた学習の展開が紹介されています。このページは、新潟の郷土料理である「雑煮」と「のっぺ」を比較できるように構成されており、子どもたちが考えるきっかけとなるように配慮されています。「のっぺ」が無い地方は、それに変わる類似の料理と、このページを比較して見るのも楽しいかもしれないとのことです。また、郷土の食材を活用した調理実習(校種と季節に分けて整理されている)や調理カード、新潟の食材いろいろといった情報も載っています。
 「新潟の郷土料理、伝統料理、正月料理」では、新潟県内外の郷土料理の情報(紹介)が載っています。家庭科の教師、職場の同僚等を通しての情報をまとめたものだそうです。いろいろな家族の大晦日と元旦の料理(県内と県外がある)、伝統料理・郷土料理、郷土料理のデータなど、多彩です。
 他にも、「季節のたより」として、季節の植物やそれを利用した食材などが公開されています。「一人暮らしのための食生活アドバイス」として調理器具や料理が紹介されていたり、「世界の暮らし」のぺージは旅行で集めた食べ物の画像等があり、興味深い内容となっています。

●「ぱれっとクラブ」(http://www.paletteclub.co.jp/)
 高校生の家庭科教育を支援するサイトとして、全国各地の高校生をつなぐ、家庭科の成果発表・情報提供の場となっています。
 「クッキングコンテスト」では、お弁当のコンテストが開催されています。このページでは、開催の告知や、その結果として全国各地の高校生が表彰されています。それぞれの高校生がどのように工夫したのかや、そのお弁当の実際の画像を見ることができます。他にも、パッチ−ワーク&刺繍作品を募集している「ホビーコンテスト」、家族を題材にした作文を募集している「家族のコミュニケーションコンテスト」を開催しているようです。自分の生徒たちに参加を勧めてもよいでしょうし、全国各地の生徒たちのがんばっている姿を見せることで、生徒たちの動機づけにつなげたり、実際に他の学校の生徒たちの作品を教材として授業に利用することもできるでしょう。
 また、スクール情報として、「お料理講習会」を開催した様子や、「スクールウオッチング」として学校を取材したものなどが紹介されています。さらに、クッキングスタジオとして、「料理の基本」などが解説されています。

消費者教育支援センター(http://www1e.mesh.ne.jp/nice/)
 消費者教育に関する情報を、小学生、中高生、教員・一般用に分けて発信しているサイトです。
 「消費者の広場for Kids」は、小学生用として、「マーク&表示クイズ」や「すごろくゲーム:安全パトロール」といった、消費者として身に付けたいことを楽しみながら学んでいく教材が用意されています。「消費者の広場for Students」は、中高生用として、Q&Aや理解度をチェックするテストを中心にして、「生活経済Q&A」、「食生活Q&A」「著作権マイ・チェック」などの教材があります。実際に児童・生徒にやらせてみてもよいでしょう。
 「e-consumer」は、教員・一般向けで、消費者教育の情報が大変充実しています。授業を行う上でのヒントもたくさんあります。例えば、消費者教育実践ガイドとして、いくつかの実践事例の紹介(家庭科、社会科)や、教材が公開されています。また、消費者教育とは何かといった情報や、学習指導要領と消費者教育の関わりも解説されています。さらに、消費者教育に関する「テーマ別リンク集」や「関連サイトリンク集」もあり、ここを拠点として情報を収集することもできます。

自薦他薦のホームページ

●(有)モック社 による「MOC:ミドル級・母娘プロジェクトマガジン」(http://www.mocsha.com/)
 「母親と娘」との距離感をテーマにとことんつきつめたサイトです。マガジンとあるように、雑誌感覚で読めるようになっています。
 内容としては、母子家庭や介護Q&A、映画の紹介(母親に焦点を当てて)などの連載と、体験談『私が母を殴った日』、母に完敗編などの特集の2種類から主に構成されています。また、占いや川柳、読者の参加ページなどもあります。
 母と娘は、家族であると同時に、同性であるがために、その関係性は独特のものです。また、女性として結婚・出産など大きな節目を迎えるたびに、その関係性はかわってくるものです。「母娘」の関係性を糸口として深く考えることで、生きていく上でのさまざまなことが見えると思い、このサイトを開設したとこのことです。中学生以上の方々であれば、女性としてだけでなく「人間」「家族」を探るきっかけになるのではというねらいがあるそうです。

おわりに

 以上、技術・家庭科関連のホームページを紹介してきました。技術科は、教師の実践紹介が活発です。教師がお互いのネタ(工夫)などを公開することにより、そこから相互の競い合い(切磋琢磨)が生まれているのかもしれません。インターネットは教師間の情報共有によって、よりよい授業を行うヒントを得られるだけでなく、やる気を高める刺激としても機能することでしょう。また、当然のことながら、技術に関連するサイトを教材として活用しながら授業を進めることもできますし、職人など実際にものづくりを行っている人たちのサイトは、詳細な情報だけでなく、子どもたちに新鮮さやリアルさを感じさせることができるでしょう。
 家庭科は、教師からの授業実践例もありますが、どちらかというと生活の知恵袋的な情報が多いと思います。子どもたちがホームページ上からそういった生活の知恵を収集したり、その結果を発表してみるのも面白いと思います。また、地域間や海外との比較から(例えば料理など)、国際理解教育的な授業をすることもできるでしょう。

自薦・他薦のホームページ募集中:ichikawa@soft.iwate-pu.ac.jpまで。
バックナンバーのページ:http://www.iwate-pu.ac.jp/home/ichikawa/new/


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