算数・数学科関連のホームページ

岩手県立大学ソフトウエア情報学部 市川 尚

はじめに

 新たに開始した教科別紹介の第3回目の今回は、算数・数学科関連のホームページ紹介です。本連載では、過去に2度(1997年6月号・1999年3月号で)取り上げた内容となります。
 算数・数学科関連のホームページは比較的多く、教師や教育機関、教育系の企業などから公開されています。特に算数・数学と名の付くサイトのほとんどは、算数・数学関係者個人(教師、研究者等)から公開されていることが特徴的です。内容としては、数学の問題等を出題したり、教材を公開したり、数学の楽しさを伝える話題や授業実践例を紹介することなどが中心です。他にも、皆で解法を考えていくサイトや、リンク集などもあります。特に、子どもたちに向けてホームページを公開している人たちには、数学の魅力(楽しさ)を皆に伝えたいという気持ちが大きいように感じます。  
 また、数学の先生はコンピュータが得意な先生が多いということもあってか、Javaなどの仕掛けを用いた教材が多いことも特徴的です。
今回は、これまで取り上げていないページを中心に紹介していきます(以前紹介したものにつきましては、バックナンバーのページをご覧ください)。

算数・数学科関連のホームページ

●井上先生による「中学数学関係リンク集」(http://www.dokidoki.ne.jp/home2/seiki/math/)
 中学校の数学科に関連するページを使いやすく整理している、中学校の先生によるリンク集です。「一中学教師のメモ帳」というサイトの中にあります。リンク集は、先生用と生徒用の大きく2つに分かれています。
 先生用は、数学教育関係、単元別指導事例、選択数学指導事例、ジャンル別というように、先生の利用を考えた視点から分類されています。例えば、単元別指導事例は学年や単元に従って整理されています。ジャンル別は、参考資料、補助プリント、コンピュータ用ソフトなどに分かれています。登録されているページには、それぞれ簡単な内容紹介が付加されており、実際に見るかどうかの判断材料になります。 
 生徒用は、問題集、数学の話、学習テーマ別一覧に分類されています。
ただページをリストするだけでなく、利用者が利用しやすいように配慮されたリンク集です。中学校数学分野のサイトを探す時は、まずここにあたってみるとよいでしょう。サイトを推薦する場所も用意してあり、協力を呼びかけています。

ようこそYOSHITA号へ(http://www2.odn.ne.jp/~aai55890/)
 高校の数学の先生が開設しているホームページです。楽しい数学の話、さまざまな教具の解説など、情報が充実しています。
 「数学どん話」では、楽しい数学の話が数多く紹介されています。とても興味を引く話題が並んでいて、思わず読んでしまいます。三平方の定理など数学者の発見した定理等の紹介もあれば、現実の世界の話題を取り入れながら紹介しているもの(たとえば石垣の黄金比の話)や、生徒に実際に行った実践事例などもあります。そのほとんどが、わかりやすく解説されています。
 「Yoshitaの教具・教材」では、数学に関する教具が、画像入りで紹介されています。例えば、数学12面体、正多角形定規など、自作したものから市販されているものまで様々です。いろいろな道具があるものだと感心してしまいます。
 「すうらくゆう」では、読者から寄せられた問題と解答を紹介しています。「数学三行詩」というものもあります。数学を楽しくするために工夫していこうという先生の気持ちや熱心さが伝わってくるサイトです。

●松下電器による「くらしの中の数学」(http://kurashi.hi-ho.ne.jp/education/math/)
 このサイトは、「くらしの中に生きづく数学」という今までに気付かなかった、目に見えない数学を再発見していくのが目的とのことです。
特にこの目的が顕著に表れているのが「MATH Eye」で、普段の生活の中に潜んでいる数学的知恵を、独自の視点で分かりやすく解明しています。ここでは、実際の生活に身近で季節感のある話題が多く、サクラや、お年玉くじの当選確率、年越し、ボーナス、バーコードといった数学の問題が出題されています。また、その問題に対する正解者のリストや、正解者へのコメントもあります。「MATH Eye Friend」では、読者側から問題が出題されています。
 「MATH Plaza」は読者との交流の場として、数学教育に関する話題や,読者からの質問、私の指導法という実践例などがあります。
数学が苦手な方にも楽しんで頂けるように努力しているそうで、身近な生活を題材として、どんなことに数学的知識が役に立つのかを考えさせてくれるページです。子どもたちが数学へ取り組む意欲の面にも、効果が表れるかもしれません。

●小島先生による「Weekend Mathmatics」(http://www.junko-k.com/)
 毎月問題を出題しているサイトです。「かこもん」を見ると、ずいぶん長い間継続していることがわかります。
各問題では、読者から送られてきた解答が多数紹介されており、いろいろな解法や解釈の仕方があるものだと考えさせられます。
出題される問題については、例えば電卓に0.999999999を表示させるのにボタンを最低何回押せばよいかといったものや、牧草を牛が食べ尽くす日数を尋ねるものなど、かなりの数に上っています。
 また、数学についてのおしゃべりをする「コロキュウム室」では、これまで行われてきた数学の話題に関するやりとりが整理されています。特にテーマ別の部屋が見やすく、興味を引く話題が見つかることでしょう。各話題については、様々な人との議論を通して、考えが深まっているようです。
このサイトは、非常に読者との交流を大切にしているという雰囲気が伝わってきますし、それによって運営されていると言えるでしょう。

中学数学の基本問題(http://www.geisya.or.jp/~mwm48961/math/index_m.htm)
 このサイトからは非常に多くの中学校数学の問題を公開しています。問題といっても、ただ提示されるだけでなく、ドリルのような感じで、Web上で解答し、その場で正解や間違いが即座にフィードバックされるようになっています。何度も正解になるまでやり直すこともできます。例えば「正負の数を数直線で示す」という問題は、実際に直線(メモリ付き)が出てきて、直線上の正確な位置をクリックすることが求められたり、「x,y座標から点を示す」では、指定された平面座標の位置をクリックすることが求められます。難易度の高い問題や遊び問題もいくつか含まれています。各問題は、名前を入力し、印刷ができるようになっています。
 各問題は、学校内で教育用に利用するに限り、複製することができます。さらに、問題、解答、KR情報等が不適当である場合や担当クラスでの授業の実態と問題の質が合わない場合には、問題と解答を改変して使用してもよいそうです。
なお、同サイトからは、高校の基本問題も公開されています。

Eichan's HP(http://www.shirakami.or.jp/~eichan/)
 数学の話題や教材がとても充実しているサイトです。この充実ぶりは、とても個人サイトとは思えません。
「パズルで数学」では、算数・数学に関するものや、規則・法則性を見つけるもの、マッチ棒パズル、なぞなぞ的なものまで、楽しそうなパズルが100問ほど提供されています。各パズルでは、ヒントを見ることもできますし、解答も提供されています。出題順の他に、難易度別等にも分類されています。
 「Javaで数学」では、図やグラフなどを実際に動かしながら学べる手軽な教材が、200以上提供されています。いくつかパラメータの設定を変えて試すこともできます。接続時間を気にせず利用できるように、Javaアプレットをダウンロードできるようにもなっています。また、「VBS実験室」には、VBScriptを利用した教材があります。
 「面白い話」では、60以上にわたる、数学の話が紹介されていて、頻繁に更新されています。また、「げげプリ」は、印刷の度に問題が変わる数学の基本問題プリントを提供しており、大変ユニークです。

●早苗先生による「数学とソフトウエア」(http://www.nikonet.or.jp/spring/sanae/)
 数学教材に用いる可能性のあるソフトウエアについて,様々な角度から検証していこうとするサイトです。数学のソフトウエアであるMathmatica関連の情報等も多く載っており、例えば3次元図形に関する作成方法の詳細な解説(MathGL3D、POV-Ray、 LiveGraphics3D等のソフトを利用方法)が載っています。
「Javaでみるいろいろな曲線」では、定義や方程式や性質の説明だけでなく、いろいろパラメーターを変動させながら、曲線の変化するさまを見ることができます。
 また、数学の様々な話題を集めた「数学玉手箱」もあり、倍数の見つけ方 や筆算でルートの値を計算するなどが載っています。「マスオ博士の気ままに数学」ではハノイの塔や因数分解の数学物語が載っています。
 高校の情報科を視野に入れた情報も多く、これで大丈夫「情報」におけるプログラミング、グラフィック、モデリング、シミュレーションExcel、アルゴリズムなどがあります。数学の先生は情報科の免許を取得される方も多いですから、参考になることでしょう。

トモエそろばん(http://www.soroban.com/)
 算数・数学に関連する道具のホームページの一例として、そろばんのページを紹介します。
 「たのしいそろばん」では、そろばんを覚えるために、実際に画面上でそろばんをはじくことができます(マウスでクリックしてはじく)。なかなか軽快に動いてくれますし、計算値が表示されます。
 「そろばん博物館」では、ローマそろばん、中国そろばんなど、さまざまなそろばんの画像や解説を見ることができます。また、「浮世絵に描かれるそろばん」など、道具としてのそろばんの歴史を見ることができます。なんともなしに使っている道具についても、インターネット上ではこういった歴史を簡単に見ることができます。
 「そろばん質問箱」では、Q&A方式で様々な質問に答えています
「WWW上のそろばん情報 」は、そろばん関連のリンク集です。「そろばん塾のご案内」では、日本全国のそろばん塾が紹介されています。「ネットそろばん塾」もあるようです。

●藤原先生による「インターネットオープンゼミ」(http://www.suugaku.com/)
 予備校の先生によるサイトで、高校数学、大学入試数学を楽しく学習してもらおうというねらいで作成されています。入試対策サイトの一例として紹介します。
ホームページ上の「受講する」を選ぶと、入試の過去問題が載っているページに行きます。センター過去問ゼミと記述過去問ゼミに分かれ、センターの方は分野別と年度別に、記述の方は分野別、大学別に分かれています。それぞれに、いくつかの過去問が掲載され、解答はPDF形式で提供されているものや、Flashを用いてアニメーションで解説されているものがあります。Flashの方は、数学を学習するテレビ番組を見ているような感覚になります。黒板だけで表現しきれないことを何とか伝えたい(たとえばグラフの動きを考えたり、イメージすること)と思って、動画教材を作成したとのことです。
 また、オープンゼミと称しているだけに、「講師室」には掲示板が設けられています。そこに出てきた質問のうち重要なものに対しては、ワンポイントレッスンという形で回答しています。

おわりに

 以上、算数・数学科関連のホームページを紹介してきました。
数学の出題サイトからの問題に取り組み、解答を送るといった事例がありました。子どもたち個人でもチャレンジできる場がWeb上にあり、今後環境が整えば、参加者が増える可能性もあります。さらに、解答のまとめ方次第では、様々な解法を参照しあえる場も提供できます。人々のいろいろな考え方に触れて理解を深められることは、インターネットの利点と言えます。
 学習教材を提供するサイトも多くありました。これらは新たな発見の場や、復習できる場でもあります。特に、数学の楽しさを伝えたいというサイトは多数あり、数学嫌いの処方箋として、うまく機能すると面白いと思います。 
また、日常・社会生活を数学的な視点で捉えていくために、学校外部とつながるインターネットを活用して、数学的知識を用いながらの問 題解決学習等を行っていくことも考えられます。

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