「本」の情報が載ったホームページ

 岩手県立大学ソフトウエア情報学部 市川 尚

はじめに

 今回は、「本」に関連するホームページを紹介します。現在、ホームページ上では、本の情報を探したり、実際に本の内容を見たり、本を注文することなどができます。筆者は盛岡に住んでいますが、専門書を置いている本屋が少なく、インターネット書店を大変重宝しています。インターネット上で注文すれば、すぐに送られてくるので便利です。
 一方で、インターネットのおかげで、雑誌の代わりにメールマガジンを読んだり、本を読まずにホームページから情報を得たりということが増えてきました。辞書を引いたり、テレビ番組表や時刻表を買ったりする必要もありません。調べものもインターネットで済む場合も多いです。しかし、やはり本の読み易さや携帯性の良さ、さらには本だけの情報(特に古いもの)というものもたくさんあり、今後も本が無くなることはないでしょう。
 また、従来は本で提供されていたものをホームページの特性を生かして融合する試みも出てきました。例えばハイパーテキスト型の小説として自由に読み進められる、井上夢人作の「99人の満員電車」(http://www.webshincho.com/99train/)などが挙げられます。漫画などが実際にWeb上で読める(アニメーションしたりする)ものもあります。
 本の情報を公開しているサイトを、大きく1次情報(実際に本の内容を参照できるもの)と2次情報(本を見つけるための情報)に便宜上分類してみると、1次情報サイトとしては、執筆した原稿などを掲載したり、本の内容までを載せているもの、もしくは、本の内容をサポートするようなページ(例えばコンピュータ系の本なら、そのプログラムなどをダウンロードができる)などがあります。2次情報としては、蔵書検索や、参考文献のリストなど、本の存在をつかんだり、概要を把握するための情報があります。
 今回は、「本」の情報が載ったホームページについて、上記のサイトをなるべく種類を網羅するように紹介していきます。

図書館のホームページ

 日本各地の図書館(県や市、大学等)からは、ホームページが公開されています。開館時間や休刊日等の情報もありますが、特にOPAC(Online Public Access Catalog)と呼ばれる、オンラインの蔵書検索サービスが役立ちます(注:すべての図書館ホームページにあるわけではありません)。例えば、「国立国会図書館」(http://www.ndl.go.jp/;図1)では「Web-OPAC」として、国立国会図書館が所蔵する和図書(1948年以降受入分の約200万件)、および洋図書(1986年以降受入分の約20万件)を、本のタイトルや著者名、ISBN等から検索することができます。全国の図書館のホームページについては、例えば日本図書館協会(http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/jla/)の図書館リンク集などを参照するとよいでしょう。国立情報学研究所(http://www.nii.ac.jp/)の「Webcat」では、全国の大学図書館で所蔵している図書や雑誌を検索することができます。

オンラインショッピング(書店)

●「紀伊国屋書店」(http://www.kinokuniya.co.jp/;図2)
 「BOOKWEB」では、本のオンラインショッピングができます。特にこのサイトでは、和書・洋書の検索のときに、各書の表紙・目次・概要などの本に関する詳細な情報を参照することができ、立ち読みに近い感覚で本を探すことができます。本棚を眺めるように、各テーマごとに最新刊を見ることもできるようになっています(教育は、人文・社会のカテゴリにあります)。会員になっていないと購入はできませんが(会員登録は有料)、Web上で注文すると、数日から数週間後に配送されてきます。また、「ハイブリッド・ウェブ・サービス」として、紀伊國屋書店の店頭在庫をインターネットで確認することができ、店頭とりおきなどが行えます。この機能を利用すれば、目当ての本がなくて無駄足を踏むということが無くなります。

●「イー・ショッピング・ブックス」(http://www.esbooks.co.jp/)
 店舗としては実在しないインターネット上のみの書店です。こちらも本のオンラインショッピングができますが、クレジット決済等の宅急便による配送のほかに、セブンイレブンで代金引換で受け取ることができることができます(会員登録は無料)。このようにオンラインショッピングの形も多様になってきました。また、読者が本についてのコメントを入力し、そのコメントを見ることができる仕掛けも面白いです。毎週のベストセラーランキングもあります。

●「Amazon.com」(http://www.amazon.com/)
 海外で最も有名なインターネット書店です。こういったサイトから洋書を直接購入することも簡単にできるようになりました。日本の書店で注文するよりも迅速で割安になることが多いです。

ダウンロードして/オンライン上で本を読む

●「Bitway-Books」(http://conpara.topica.ne.jp/)
 電子化した本をダウンロードしたり、Web上から読むタイプのホームページです(有料)。小説から雑誌、漫画、絵本など、ジャンルは多種に渡っています。読むときに専用のビューワーが必要な場合もあります。

●「青空文庫」(http://www.aozora.gr.jp/;図3)
 著作権切れの作品、自由に読んでも構わない作品を電子化して、テキストファイル、HTMLファイル、エキスパンドブックの三種類の形式で提供しているインターネット上の無料図書館です。実際に読んだり、教材作成等にも活用できることでしょう。

本の販売元・作者からの発信

●出版社からの発信
 出版社のホームページでは、出版している本の紹介があったり、直接購入などができるところがあります。教育系の出版社では、例えば教育出版(http://www5.mediagalaxy.co.jp/kyoiku-shuppan/;図4)が、本の紹介だけでなく、本に関連したサポート情報を載せています。そこは教科書(授業)を支援するための各教科のページがあり、教科書のQ&Aや、指導要領、教科書のトピックに関連するサイトへのリンクなどがあります。

●作者からの発信
 本の作者自らがページを作成し、著作についての情報を公開(宣伝)しているサイトがあります。学校のページなどでも、自分たちの研究をまとめた書籍を紹介しているところをよく見かけます。また、実際に著作したものをそのまま載せているページもあり、本を一冊丸ごとというよりは、雑誌の記事レベルで公開されているものを多く見かけます。例えば、本連載のバックナンバーのページもそういったものと言えるでしょう。Web上で読んだほうが、リンク等が直に張られており、便利な場合もありますし、本には載せられなかった裏話や没ネタなどが発信されている場合もあります。

教育研究等に役立つ文献情報

●教育系の研究文献データベース
 岐阜大学教育学部附属センターからは、「EDMARS教育研究文献情報データベース」(http://www.crdc.gifu-u.ac.jp/edmars/;図5)として、国内の教育工学、教育学、教科教育等の学会誌を中心に載せられた論文が検索できます。海外のものとしては、教育系の論文を検索できるERIC(http://www.accesseric.org/)があります。

●教育に役立つ文献紹介
 教科の情報が載ったページをはじめとして、教育系のページには、そのテーマに関するおすすめ書籍や参考文献などが提供されています。授業等のために活用する本を探しているなら、そのテーマの載った教育系ページを見てみるという手があります。また、教育センターなどのホームページでも蔵書情報を検索することができるところもあるようです。文部省のページ(http://www.monbu.go.jp/)にも、刊行物の案内や指導要領の原文が載っています。

その他

●新刊情報
 インターネットは最新情報を得られるのがひとつのメリットです。新刊情報をどこよりも早く得ることができます。各オンラインショッピングのサイトはもちろんのこと、TRC図書館流通センター(http://www.trc.co.jp/;図6)内の「ブックポータル」では、新刊の検索ができます。現在売れている本の情報は、Yahoo! Japan(http://www.yahoo.co.jp/)内に書籍のランキングとして掲載されています。教育系の新刊情報なら、ED-NEWS(http://www.ed-news.com/)から得ることができます。

●「Books」(http://www.books.or.jp/)
 書籍情報のサーチエンジンです。国内で入手可能な書籍を検索することができます。

●「日本の古本屋」(http://www.kosho.or.jp/kosho/user/)
 日本の古本の検索・注文ができるサイトです。

●「書評ホームページ」(http://www.shohyo.co.jp/)
 書評を見ることができます。書評の検索には、教育・学校のカテゴリもあります。各書評ページへのリンクなども充実しています。

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ホームページ紹介記事バックナンバーhttp://www.iwate-pu.ac.jp/home/ichikawa/new/

図1 国立国会図書館
図2 紀伊国屋書店
図3 青空文庫
図4 教育出版
図5 EDMARS教育研究文献情報データベース
図6 TRC図書館流通センター


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